公開日 2022/4/12
日中が多忙な人にとって朝と夜は勉強時間を確保できる数少ない時間帯だと思いますが、どちらの時間に勉強する方が良いのか考えたことはありませんか。
朝型の人は朝、夜型の人は夜に勉強した方が良いと思っている人もいるかも知れませんが、実はそうではありません。どちらの時間帯にもメリットがあり、適した勉強法が存在します。
今回の記事では朝の勉強と夜の勉強のメリットとそれぞれの時間の勉強の仕方について紹介します。
まず朝の勉強のメリットについて紹介します。
脳科学者の茂木健一郎氏によれば朝の脳の状態は1日のなかで最も冴えていて勉強の効率が良いため、この時間を脳の「ゴールデンタイム」と呼んでいます。特に起きてから3時間が最も効率が良いそうです。
普段の生活で私たちは目や耳から様々な情報を得て海馬に短期記憶として一時的に保存された後、大脳皮質の側頭連合野に蓄積されます。それが睡眠を取ることによって記憶が整理されて長期記憶へと変わります。これにより朝目覚めたときには脳は記憶をリセットしているため脳がスッキリした状態になり、新しい記憶の収納や創造性を発揮することに適した状態になるため、朝は脳のゴールデンタイムと呼んでいるそうです。
また、朝の時間帯には脳からドーパミン、副腎皮質からアドレナリンという神経伝達物質が分泌されることも朝にする勉強がよいとされている理由でもあります。
ドーパミンにはやる気の向上や記憶に関する中枢神経を強化してくれる働きを持っています。アドレナリンには脳を覚醒させて集中力を上げてくれる作用があります。
脳が最も活性化している時間は朝ですが、暗記に関しては就寝前の時間にやると一番良いです。
先述したとおり睡眠中には脳が記憶の整理を行い短期記憶を長期記憶へと繋げてくれます。特に寝る1時間前に覚えた内容は記憶に定着しやすいと言われています。
東大院薬学研究科教授の池谷裕二氏の実験で、語学の勉強をした後とさらに睡眠後のテストの結果を比較しました。結果、勉強直後のテストよりも睡眠後のテストの点数のほうが上がっていることがわかりました。
朝の勉強と夜勉強にはどちらもメリットがあることをご説明しました。それを踏まえてそれぞれの時間を使い分けるためのポイントを紹介していきます。
朝は1日の中で最も集中でき、頭が働く時間帯なので数学のような思考力を必要とする勉強が最も適しています。
また、池谷氏は前日の就寝前に問題を目を通しておくと次の朝にひらめく可能性を上げてくれると述べているため、わからない問題の内容を頭に入れた翌朝に取り組んでみると良いでしょう。
しかし、朝に最も頭が働くと言っても、起きた直後は身体を休ませる副交感神経が優位になっているため、身体を活発にさせる交感神経に切り替える必要があります。そのためには、日光を浴びるようにしましょう。日光を浴びることによってセロトニンという物質が分泌され、交感神経を優位にします。
夜の勉強には記憶を定着させてくれる効果があるため、暗記をするのがおすすめです。英単語や専門用語、また内容を定着させたい本を読むなどの覚えたい物を覚えるようにしましょう。集中して考えなければいけないような勉強は脳が疲れている状態なので夜は控えるように気をつけましょう。
しかし、暗記したい内容が多くあるからといって夜に詰め込みすぎるのはやめましょう。夜の勉強で1番大事なポイントは勉強した後の良質な睡眠です。夜遅くまで時間を割いて勉強しても、睡眠時間が減ってしまうと脳が十分に記憶を定着させることができません。
人間はノンレム睡眠という深い眠りとレム睡眠という浅い眠りを1時間半周期で繰り返しています。レム睡眠時に脳はその日の記憶の内容を長期記憶へと繋げていくため睡眠時間が減るとせっかく暗記しても脳から消えてしまいます。しっかりと脳に記憶を定着させたい場合は6時間以上の睡眠を心がけましょう。そうすればレム睡眠が2回あるため、十分に長期記憶へと変換されます。
また、勉強が終わった後はスマホを見ないようにしましょう。スマホは脳に入ってくる情報量が多いため、せっかく暗記した内容もスマホからの情報と混ざってしまい、暗記の効率が下がってしまいます。さらに、スマホから出るブルーライトには脳を覚醒させる作用があるため睡眠の質を下げてしまいます。
夜の勉強が終わったら余計な物は見ないですぐに寝るようにしましょう。
朝の勉強と夜の勉強にはそれぞれの秀でた部分があるためどちらかだけに勉強時間が偏ってしまうのはもったいないです。二つの時間をうまく使い分ければ勉強の効率を上げることができるため、是非今回紹介したポイントを意識してみてください。
©cfcmedia.jp All Rights Reserved.