作業中に音楽を聴くことで集中力が上がる理由

作業中の音楽がなぜ集中力を上げるのか

1/fゆらぎが集中力を上げる

よく「1/fゆらぎ」の作業用BGMが紹介されていたりしますが、これを聴くことで集中力を上げることができます。

雨音や波音、川のせせらぎ、小鳥のさえずりといった自然音には「1/fゆらぎ」という波形が含まれています。物理学者である武者利光氏によればこの波形は不規則的な中にも一定の法則を持っていることが特徴であり、人体にもこの波形が含まれていることがわかっています。

また、東京大学薬学部教授で大脳生理学専門の池谷裕二先生が言うには1/fゆらぎがある音楽を聴くことで学習効果が高まるとあるそうです。

マウスの実験によると、全くの無音状態では何かを学習させることが出来ませんが、「ザー」というホワイトノイズを聞かせることによって学習効果を高められることがわかっています。人間も同様に50デシベル程度の雑音があることで作業がはかどり、その雑音に適しているのが1/fゆらぎなのです。

集中が続かない人は作業中に1/fゆらぎがある音楽を聴いてみると良いでしょう。

脳に快楽物質が分泌される

音楽を聴くことで脳内のドーパミンの分泌を促してくれる効果があります。

2009年にカナダ・マギル大学の研究チームの実験で、被験者に自分の好きな器楽曲を10曲ずつ用意させて曲を聴いている間の被験者の脳を観察したところドーパミンが分泌されているのが確認されました。

東京都医学総合研究所の客員研究員である渡邉正孝氏によると、脳の司令塔とも呼ばれる、思考や創造性を担う前頭前野という脳の部位が効率的に働くようになるため、ドーパミンの分泌が増えれば頭の回転が良くなり集中しやすくなります。

また、音楽を聴くことによってベータエンドルフィンというリラックス効果のある脳内物質も分泌されます。

適度な音があった方が集中しやすい

完全な無音状態で作業をするとちょっとした物音でも大きく聞こえてしまい気になってしまうため注意が散漫になってしまいます。

しかし、適度に音がある環境では物音が互いに音をかき消し合うマスキング効果という減少があるため、ひとつひとつの音を識別しづらく集中力を高められる環境になります。

三井住友建設技術開発センターが2010年に報告した実験では、波音や川のせせらぎをオフィスで流すと完全な無音状態のときより話し声が気になりづらくなるという結果が出ました。

また、社会システム工学などを研究する五藤寿樹教授が90人のオフィス労働者を対象に行った事件があります。

被験者に「環境音楽を聴きながら」「ラジオを聴きながら」「無音で」という3つのグループに分け、それぞれの環境下で作業を行ってもらったところ、作業の正確さの違いで環境音楽では20%改善、ラジオはほぼ変化無し、無音はマイナスといった結果が出ました。

このようにある程度の音がある状態だと集中できると感じる人はカフェで作業をすると集中しやすいです。ある程度の音楽がかかっていたり少し雑音があるため集中できる環境になっています。

歌詞ありの音楽は「ながら勉強」になるリスクがある

脳神経科学者の枝川義邦氏によれば、マルチタスクはコルチゾールというストレスホルモンの増加を招くそうです。コルチゾールが増え続けると脳細胞が破壊されて脳のパフォーマンスが低下してしまいます。

なので、音楽を聴くときには歌詞のない音楽を聴くようにしましょう。

おすすめの音楽

波の音の入ったBGM

波の音が入った音楽には1/fゆらぎが含まれているため集中しやすくなります。YouTubeに波の音が入った作業用BGMが多くアップロードされているのでその中のおすすめをいくつかご紹介します。

クラシック音楽

クラシック音楽も1/fゆらぎを多く含んでいるとされています。音楽療法などを研究する伊藤輝子氏によると以下の音楽は特に1/fゆらぎが強い曲だと言っています。

まとめ

音楽をかけるだけで今までと同じように作業しても効率が変わるかもしれません。今回ご紹介した音楽などを是非日々の作業に取り入れてみてください。